赤ト黒
その流暢な語り口のダンディな男のひとのことを、
「うまく説明できない」と言うことがうまい説明だと思う。
様々な知識を持ったその人のことを、
話す前はキンキラリンのセレブだと思ってた。
でも、BMWに乗ってきたその方と最初に盛り上がった話は、
「どこの『餃子の王将』が美味しいか」。
突然、うちに8本もワインを送ってくださった
その不思議な人が用意してくれた夜は、
お仕事場の近所で買ってきてくださった、
西京極「ポワロ」のバジリコフランスから始まった。
失礼を承知で、あえて書こう。
正直、「安(やす)パン」の晩酌である、と。
でも、その100円台のパンとは思えないバジリコペーストの味。
上品な芳香とかそんなではない、旨味というものをしっかり感じる。
そして、隠し球として出てきたのが、イカスミ&明太子フランス(写真)
という、よくわからないセンスのパン。
でも、その肴に成り得るイカスミや明太子が(具というよりも調味料として)
ソフトフランスにのると、コテっとしてるけれど、
妙にまとまりのあるいい味になってしまうのは、スタンダールもびっくりである。
おしゃれーで高級なブレッドじゃない、コテコテの味が表現された惣菜パン。
実は8本のワインも平均500円。
そのひとは、その夜、単純に高ければいいというような
田舎ものの考え方ではなく、安いもので、美味しい時間を過ごす
というセンスを教えてくれた。でも、それはめっちゃいいものを
知ってるからこそできる考え方。
いいオトナとは、ということを改めて考えさせられた時間。
値段や名前だけで、ものごとを判断する勿れ。
自分の感覚を鍛え、信じよう。
カッコよく、ステキなオトナになるために。

