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霜月ニ伏ス

病は気から。
自分に「大丈夫、大丈夫、すぐ治る」と
騙し騙し言い聞かせても、
いつもの晩酌のように盃に手がのびない。

風邪に罹るということは、
身体が怠いことを辛く思うのではなく、
日々の愉しみをいつもどおりにできないということを
疎ましく思うということ。
久しぶりに熱を出し、そんなことを思った。

そっと作ってくれた、妻の雑炊を大人しく啜る。
鶏の挽肉とニラの優しい味付けは、彼女の実家の味。
大家さんからもらった蕪、薩摩芋と紅生姜は彼女のアレンジ。
喉にふわっとながれた鰹出汁に、なんだか心がしみた。

脹よかな湯気越しに、妻の顔。
惚気るわけではないけれど、そばに居てくれてよかった。

今日は、お酒を我慢しよう。
こんな日があっても、ま、いいか。


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