巡って、惚れて

私たちの山形から続く初夏の東北旅は、
妹夫婦の暮らす岩手へと。
奥深い風土と、底抜けの美味がひそむ、
まさに「イーハトーヴ・理想郷」です。
若くして岩手の生き字引と化している弟と、
博多弁の明るい妹の頼れる新婚ナビでした。

盛岡には、北上川と中津川という、
ふたつの美しい川が流れています。
架る橋にも風情があり、どこか京都と面影が似ていますね。
中津川をてくてく、こんな時間が流れる街は、きっと酔い街!

まずは、訪れてみたかった、「ひめくり」さんという、
中津川沿いのショップ&イベントスペース。
盛岡のとっても素敵な情報誌「てくり」さんによって
作られたお店は、もの選びの視点が面白く、
東北の、しっかりと背骨の通ったセンスを感じる空間でした。

そして盛岡城跡公園は、山形に続き、満開の桜に圧巻!
しかし、花より団子な私たちは、大阪のたこ焼きならぬ、
岩手の「うす焼」をペロリといただきました。
土地は違えど、粉もんは屋台に付きものです。

そして、夜は盛岡の繁華街「映画館通り」にある
ヌッフ・デュ・パプ 」さんへ。
ビルの中に突然現れる広大なビアホール!
地元の食材を使った、豊かなメニューは、
海の幸、山の幸はもちろん、酪農から、短角牛に白金豚・・・。
岩手は、北海道に負けず劣らぬ、食の宝庫ですね!
陽気なヌッフ・ボスさんにも楽しく酌されて、
何よりもその雰囲気に酔える素敵なお店でした。

次の日の朝は、盛岡のソウルフード!「福田パン」!
すでに列ができているそのお店は、
大きなコッペパンに、 お客さんが選んだ具を
その場でサンドしてくれるという、驚きシステムのパン屋さん!

五十年以上の歴史と、五十種近い具。
一番人気の「あんバター」に「れんこんしめじ&ポテトサラダ」など、
朝から、おのおの入魂のセレクトです!

盛岡の街から一路、紫波郡の蔵元「吾妻嶺」さんでは、
お忙しい中にも関わらず、丁寧にお迎えいただき、
震災の話、これからの岩手の話、
いろんなお話をお伺いすることが出来ました。
被害が少ない内陸部とは言っても、
たくさんのことを抱えてのこの春。
しかし、美味しい岩手の食の話になると、
目を輝かせていらっしゃる様子が、
とてもとても頼もしく感じました。
東北のお酒と食材、もっと関西でも味わいたいですね!

そしてこの旅の目的地のひとつ「遠野」へ。
柳田國男の「遠野物語」に記されるように、
多くの民話が今も息づくこの土地は、
独特の空気が漂っている秘密の里・・・なのですが、
漂っていたのは、名物・ジンギスカンの美味しそうなにおいでした!

腹ごなしをした後は、
千体もの「おしら様」が祭られる御蚕神堂や、
カッパが棲むカッパ淵を巡り、民話の世界に浸りました。

そして、何よりも酒器屋としては見逃せない、
「どぶろく特区」遠野の「どぶろく」もしっかりと賞味です。

夜の盛岡・櫻山神社門前には赤提灯の似合う情緒が漂います。
ふと訪れた「茶の間」さんは、
旅人の心を癒してくれる、やさしいお店でした。

「蕗の薹味噌」がのった冷や奴で、お酒をちびりちびりと。
地元の肴をつまみながら、店のおじさんと笑い合い、
優しい東北弁に浸る・・・旅の醍醐味ですね。

翌朝、岩手最後の食事は、
弟の青春の思い出の店で、盛岡冷麺と焼肉ランチ!
銘店も旨いのですが、その土地の人の思いの詰まったお店で
食べることもまたとっても美味しい!
ナビしてくれたふたりに感謝です!

山形での展示会を含め、およそ1週間東北を巡りました。
そして、いろんな人と出会い、話しました。
震災について感じたのは、「これから先が長い」ということ。
この出来事とゆっくり長く付き合う時に、
私たちが正直に考えたのは、都合がいいかもしれませんが、
「東北を楽しむこと」でした。

今回も、私たちは、
ボランティアとして「被災地」を訪れたのではなく、
旅人として「観光地」を周りました。
自分が慣れない支援は大変かもしれませんが、
楽しいことならできる。
東北にあふれる素敵な「観光」という資源を
活かさない手はありません。

今回、もっと好きになった「東北」。
まだまだこの素敵な土地を巡ってみたいと思います。
もちろん、夜は酔いながら。

2件のコメント

  1. 良いですね~。私も東北大好きです。
    山形は、私が行った頃は(18年ほど前)鶴岡とか、古い建造物がまだあり、とても良かったです。
    あと型染めの工芸品のお店にも行きました。
    岩手の遠野では、曲り屋のある民宿に泊まりました。
    あ~、いいなあ、又行きたいです。
    盛岡冷麺は食べたなー。
    そこに生活している人が案内してくれると、地元のソウルフード食べれるから良いですよね。
    福田のパン、、食べたい。

  2. >miwoさま

    山形、街も人も!どんどん好きになります。
    次は、鶴岡や酒田にも足を延ばしてみたいです〜。
    都会化は進んでいますが、
    それは、きっといろんな流れなのでしょうね。

    岩手では、食材の豊かさをじみじみと感じました。
    遠野の民宿は、自衛隊のみなさんのお宿になっていたので、
    民宿にてどぶろくの宴、またのお楽しみなりました!

    妹夫婦のおかげで、少しづつ、
    岩手のことも知ることができました。
    福田パン、お土産にできないところがニクイ!

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