湯上がりの一杯

春の陽気がふわふわ。
呑んでいなくともほろ酔い心地のようなこの季節、
工房も窓を大きく開けてひと仕事です。

早春の京都での展示、
今宵堂の酒器展『男と女のババンバ・バンバンバン♪』
先週楽しく終了いたしました。
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今回は、ギャラリーを銭湯へと様変わり。
入口の暖簾に「銭湯ができたの?」と
訝しげに入ってくるご近所さんもいらっしゃいました。
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会場内には、「男」と「女」の暖簾がはらり。
お客さまたちは束の間の戸惑いの後、
男は「男」へ、女は「女」へ。
しかし、えへへと「女」へ進む男もいれば、
まっしぐらに「男」へ進む女も。
みなさまの後ろ姿を眺めながら、
人生いろいろ~♪のメロディがよぎりました。

ドキドキと暖簾をくぐって浴場へ。
汗くささ香る?男湯はこんな感じ。
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水道と桶をイメージした器が並ぶ洗面台で仕切られ、
隣の湯の足下だけがチラリと見えています。
魅惑の女湯はこんな感じ。
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男湯には「男」の酒器が、
女湯には「女」の酒器が壁にずらり。

例えば、男湯には、小さなお猪口に
ハートの突起がついた「凸猪口」がちょこん。
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突起があるのが男ならば、
女湯には、ハートの穴が空いた「凹猪口」。
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このように、実は全ての酒器が、
男と女で対(つい)になって並んでいました。

やきものには、「夫婦茶碗」や「徳利と盃」というように、
ふたつでひとつのセットになる
「対」(または「組」)という見せ方があります。

本来ならふたつ一緒に並べて見せるべきそれぞれの器を、
男と女の関係に置き換えて、
男か女か分類せざるを得ない場所「銭湯」にちなんで、
別々に展示してみる、というのが今回の試みだったのです。

ほかにも、女が赤い手ぬぐいマフラーにして待っている間、
男は頭にはち巻き巻いて酔い踊っている徳利揃え。
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男がこぼした酒という溢れるほどの愛の滴を、
しっかり受けとめてくれる「盛り切り」の酒杯と升。
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男女の一部を模した可盃の揃えは、
卑猥さも湯けむりに霞んで無礼講。
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お触りも盗撮もOKの浴場内で響くシャッター音がうれしく、
番頭・夫婦ふたりでほくそえんでおりました~。

こんな愉快な舞台を作ってくださり、
うちのお転婆娘の子守までお世話になったギャラリーH2Oさん、
湯上がりのお休み処のお燗酒タイムに
ご協力いただいた名酒館タキモトの高尾さん、
そして春先の冷たい風の中に足を運んでくださった
湯上がり呑兵衛みなさま、ありがとうございました!
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展示を終え、ひと息ついてくぐる近所の銭湯の暖簾。
その懐かしい雰囲気に浸るというのも
銭湯の良さのひとつですね。

だけど、やっぱりおうちとは違って、
のびのびと手足を伸ばせる湯船や、
他人の前に自分の裸をさらけ出すという
ちょっとした「開放感」が、
この場所の魅力なのではないかと思いました。

ともすればタブーになりがちな表現を含みつつ、
男と女の関係性を探ったふざけた酒器たち。
酔っぱらいながら考えた今宵堂のこの「開放感」を
えへへと楽しんでくださったみなさまの笑顔を思い出しながら、
湯上がりの一杯を楽しんでいます。

展示の写真は、今宵堂のfacebookページでもどうぞ。

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