山形と京都を結ぶ紅い糸

「まゆはきを俤(おもかげ)にして紅粉の花」

芭蕉も詠んだ山形が誇る「紅花」。
紅の花とはいうけれど、
実は明るいオレンジ色の花なのです。

農家の娘たちが、
花の棘(とげ)をがまんしながらこの花を摘み、
干したり擦ったりと手間をかけていくことで、
深く鮮やかな「紅」の色が出てきます。
それが酒田経由の北前船で京の都に運ばれ、
艶やかな舞子たちの口元を彩る。
一生、紅もさすことができなかった摘み娘たちの思いが、
深い紅色となって現れていたのかもしれませんね。

このように、山形と京都は昔から紅花をとおして
深いつながりがあったようです。
山形と関西の味の好みが似ていたり、
山形の民家には多くの雅な雛人形が残っていたりするのは、
この小さな花が所以となっているようです。

私たちはふたつの土地をつなぐこの花を、
小さな蕎麦猪口で表してみました。
互いの土地に思いを馳せて、
今宵もお酒に浸りましょう。

今宵堂の器展「山形蕎麦猪口物語」は、
15日(日)まで開催中です。

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