『本と酒器でめぐる酒の世界』

雪景色もつかの間。
北風が鴨川を駆け抜けてゆきます。

36年の歴史を誇るお酒の情報誌「ほろよい手帖・月刊たる」。
この度、400号のリニューアル記念として、
歴代の表紙や校正原稿見本などを並べる展示が開催されます。

今宵堂も会場に「たる」オリジナル酒器「樽猪口」を始めとした
小さな酒器たちをお届けさせていただいております。

「たる」さんへのお祝いとして、小さな酒器屋より、
お祝いの言葉を寄せさせていただきました。

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「呑む」ことにまつわる、悲喜交々がとても好きです。

私たちが好きな晩酌という時間は、
酒の旨さや肴の味で幸せの度数がぐっと上るもの。
丁寧に造られた蔵の酒を夫婦でほんの一合、
そんなささやかな贅沢を楽しみに仕事に勤しむ日々であります。

しかし、酒器屋を始めて今年で十年。
このところ、ちょっと心が泳ぎはじめました。
その日の酒が、お気に入りの銘柄や
エヘンと自慢したくなる銘酒でなくともいいな、と。
その代わり「晩酌」にちょっとした話題があれば
お得な気分になるもんだな、と。

苦労した徳利の焼き上がりの良さ、
お客さんのうれしいひと声、
娘が初めて描いてくれた似顔絵、
その日の小さな出来事が、なぜか酒を誘います。
こんな小さな家族の晩酌でさえも、
なんだかんだのドラマはあるものです。
娘が惚れた腫れたのお年頃だと、
私たちにはもっと濃ゆい「呑む」があることでしょう。

「たる」には、そんな「呑む」おもしろさが、
記事という出来事として、たくさん詰まっていると思います。
酒の紹介や呑み方、お店のことも気になるけれど、
合間に潜む深く色っぽいエッセイにも酔えます。
1月号の新春祝いに連なる新地のママの名前も、とても艶やかでした。

今回の記念の樽猪口、注がれた酒に笑いが交じったのか、涙が滲んだのか。
呑み手のみなさんそれぞれのお話をお聞きしてみたいです。
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読みものを片手に酒を啜るのは、なんとも幸せなひととき。
京都「レティシア書房」さん、
神戸「1003」さんという、
関西の素敵な本屋さん二店での展示ですので、
呑みの前にでもふらりとどうぞ。

 
『本と酒器でめぐる酒の世界』京都展
2016年 1月26日(火)~ 2月7日(日)
12:00 ~ 20:00 月曜休
会場 / レティシア書房  京都市中京区高倉通り二条下がる瓦町551
電話 / 075-212-1772

『本と酒器でめぐる酒の世界』神戸展
2016年 2月17日(水)~ 2月29日(月)
12:00 ~ 20:00 毎週火曜/第2・第4水曜定休
会場 / 1003  神戸市中央区元町通3-3-2 IMAGAWA BLDG. 2F
電話 / 050-3692-1329

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