「山形蕎麦猪口物語」

桜吹雪に背を押されて、新年度が始まってゆく春。
今は日本にとって本当に大変な時期ですが、
心と体は前へ前へと進んでいこう、
そんな気持ちでものづくりに励んでいます。

この春、私たち今宵堂は、
東北・山形にて展示の場をいただきました。
山形県といえば・・・?
西日本出身の私は「さくらんぼ」!なのですが、
実は山形には、さくらんぼに負けずとも劣らない、
とっても美味しい名産があるのです!

それは「蕎麦」!
山形の蕎麦の特徴は、
太い蕎麦に細い蕎麦、変わり蕎麦に更科蕎麦・・・と、
つまり蕎麦屋の数だけ蕎麦があるような、
「色々ある」というのが特徴なのです。

今回は、私たちが惚れた山形の「蕎麦」を相手に、
蕎麦に欠かせない「蕎麦猪口」が並びます。
この「蕎麦猪口」という器も、
蕎麦つゆだけでなく、お酒に肴にデザートにその用途は様々です。
使い手の気分とアイデア次第で、
朝から晩まで、食卓にちょいと顔出す名脇役といったところ。

蕎麦も色々、蕎麦猪口も色々、
酒も色々であれば、人生もまた色々。
小さな「蕎麦猪口」に山形への想いとユーモアを込めて、
今宵堂による多様な表現をご賞味いただければ幸いです。
他にも、「山形」ならではの名品も紛れ込んでいるかも?
その辺りもお楽しみに!

余震が続く中ですが、
少しでも東北を楽しく盛り上げることができればと、
小さな今宵堂は願っています。
山形のみなさま、どうぞお気軽に遊びにいらしてくださいませ!

今宵堂の器展『山形蕎麦猪口物語』
2011年 4月29日(金)〜 5月15日(日)
11:00 〜 18:30 ※ 水曜定休日
会場 / ぎゃるり葦  山形市香澄町2-1-4
電話 / 023-622-1234

※ 今宵堂は4/29〜5/1まで在廊いたします。
※ こちらからDMをご覧になれます。


桜日和

桜小道をお散歩しながら、
お弁当を広げるのが、この季節の楽しみです。
今日もお昼の休憩は、自転車で近所の桜を巡りました。

出雲路橋の袂で見つけた、
おうちの垣根から飛び出す風流な桜。
お昼はこの木の下で。
※ 写真をクリックすると、大きい写真が表示されます。

賀茂川の広い道を、
河岸の左右に咲く花を眺めながら桜出町柳まで下ります。

出町から今度は高野川を北上。
真っ白に咲いた桜が密集する中、
川のほとりでスタバのフラペチーノを飲んで休憩。

北大路から今度は下鴨の疎水沿いに。
この疎水沿いの桜はとてもおすすめです。
住宅地の中なので、とても静かな隠れた桜道。
いろんな方向に枝を伸ばした桜が、
疎水に沿ってずっと続いています。
桜吹雪に花筏、身近にある木として桜を楽しめる時間。

そのまま疎水沿いに進むと植物園の側を通って
賀茂川に戻ってきます。
すぐに開ける半木の道は枝垂れの名所。
ピンクの花が揺れる様が今日の散歩の〆でした。
いろんなことがありますが、
日本の春を彩るこの花を眺めましょう!

情熱の酒器作り

今宵堂、三月の器作り体験はツワモノたちが揃いました。

京の酒呑みご用達の酒屋さんである「鵜飼商店」さん。
娘さんの倫子さんのもとに集ったのは、若き呑兵衛さんたちでした。
若くして日本酒にはまってしまった彼等の作陶の目的は、
もちろん「酒器」!

今まで何度か器作り体験をやってきましたが、
ここまで「酒器」を目的にされた方々は初めて。
酒器屋冥利につきる作陶の時間となりました。

盃、猪口、肴器はもちろんのこと、
みなさん片口などの注器にまで手を付け始める始末。
さらには初めてのロクロで徳利まで作ってしまうという
呑兵衛さんたちの情熱に圧倒されてしまいました。

この日の彼等は、土に向う姿勢が
お酒への愛そのもの!
ただ、「お酒が好き」という思いで
土は酒器の形へと変わっていくようでした。

たくさんの土にまみれた後は、
やっぱりみなさんで乾杯を。
参加者のひとり駿くんは、大学生ながら
三重・森喜酒造場の若き営業部長?
彼のお酌で「英(はなぶさ)」を愉しんでお開きとなりました。

「美味しいお酒を呑む」という目的に向ってする努力は美しい。
私たちも襟を正されたような気分の器作り体験でした。






春へ向って

さまざまなことがありますが、心は春へ向って。
鴨川のほとりでも、春の主人公たちが、
さあ、そろそろだよとつぼんできました。

京都の竹工芸の老舗「公長齋小菅」さんと
コラボして作らせていただいた
公長齋小菅 × 今宵堂 片口・ぐい呑み」。
この春も、京都だけでなく、
新宿・千葉・広島などの「公長齋小菅直営店」に並びます。

春の酔いにもそっとおすすめできる酒器揃。
繊細でありながらも暖かく、
そして何よりも竹のような「しなやかさ」を。
小菅さんの洗練された竹製品に寄り添うことを心がけて作りました。

片口は、お酒の揺らぎを美しく魅せながら、
後を引かないすっとした切れ味。
「白陶」というやわらかな質感を感じる釉を纏っています。

お気に入りの酒瓶を抱えて、ちょっとそこまでの花見酒も酔し、
おうちでほっと、安らかな酒卓も酔し。
うれしい酔いは、小さな幸せ。
日本の美しい季節を楽しみましょう。

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今宵堂の五周年

五年前の今日、
私たちが結婚して、小さな酒器作りの工房が始まりました。

ふたりで作る小さな盃は東へ西へ、たくさんの呑兵衛のみなさまの元へ。
この工房を始めたときには、こんなにもたくさんの
お酒やその周辺を愛する方たちに出会えるとは思ってもいませんでした。
そして、2011年の春に東北がこういう状況になっていることも。

私たちには東北にたくさん知人がおり、
無事な方も、大きく被災された方も様々です。
流れるニュースに胸を痛める日々でしたが、
被災した知人たちの直接の言葉は、様々な情報の何よりも強いです。
「負けるものか、必ずまた復興させる」。

今宵堂が六年目に入る最後の夜、
私たちはいつもどおり「晩酌」をすることにしました。
ほんの一切れの酒肴と、一杯のお酒が
こんなにも贅沢に感じる。
そんな「日常のささやかな行為」を幸せに感じる思いを胸に、
私たちの商いをとおして東北を支援していこうと思いました。

不安や遠慮という思いを巡らせたひとときでしたが、
昨日、ひとつのことが決まりました。
震災の最中ですが、四月末より東北・山形で展示会を決行いたします。
タイトルは「山形蕎麦猪口物語」。
東北のみなさんに「面白い!」と思ってもらえるひとときを少しでも、
そして太平洋沿岸部に少しでも支援をするために、
今宵堂六年目への小さな決意です。

「育つ器、育てる器展」

春ほころぶ三月、
福岡「手の間」さんにて愉しい企画が始まります。

「育つ器、育てる器」。
暮らしとともに使い込むことで少しずつ味わいを増していく「器」。
時を経、色が変わり、形がこなれ、表情が出て「自分の道具」となり、
世界に二つとないものが生まれます。
こんな「道具と人の関係を見つめる」企画に、
今宵堂は、お燗のための銚釐(ちろり)を並べます。

この銚釐にはストーリーがあります。
居酒屋好きの私たちが、雑誌の居酒屋特集を見ていると・・・
目に付いたのは旭川の銘居酒屋「三四郎」さんの銚釐!
かわいい形なのに重厚な存在感。
一目で呑兵衛心をくすぐる酒器だと感じたのです。
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その佇まいを元に「立ち姿の銚釐を作ってみたい!」
と思って作ったのが、今宵堂の「千鳥銚釐(ちどりちろり)」です。
私たちは口元の形を鳥に見立て「チドリ」の「ちろり」と洒落てみました。

そして今回、「手の間」さんからお話をいただいて、「千鳥銚釐」が、
なんと「三四郎」さんの銚釐とともに並ぶことになりました。
実は「三四郎」さんの銚釐は、
元を辿ると今は無き京都の清水焼の窯のものらしく、
なんだか不思議な運命を感じます。

形や釉薬は違えども、どちらもお酒を呑むための庶民の道具。
今宵堂の「千鳥銚釐」は、
まだまだ歴史を経てない「ひよっこ」ですが、
長く愛して育てていただければ嬉しいです!

『育つ器、育てる器展』
2011年 3月11日(金)〜 17日(木) 
11:00 〜 19:00 ※ 会期中は無休です
会場 / 手の間
    福岡市中央区警固2-19-9百田ビル2階
電話 / 092-761-0395

異国の風に吹かれて

目の前にはひとつの丸い石。
南欧・ポルトの街の浜辺から
この小さな塊を拾ってきてくださったのは、
英会話講師の「三郎」さん。

昨春の京都で、彼とともに私たちは、
「英語」と「酒器」のコラボ展示を行いました。
「恋する前置詞」〜酒器で学ぶ英単語〜
「恋」をテーマに英語の「前置詞」を「酒器」で覚えよう!
というちょっと不思議な展示でした。

ひとつひとつに恋の物語と前置詞の意味が込められた酒器たち。
今回、三郎さんの旅の鞄にそっと忍ばせていただきました。
三郎さんの「日本のアートを海外に紹介する」という思いのもと、
ポルトガルの港町・ポルトで小さな披露の機会を得た酒器たちは、
鮮やかな緑の壁の部屋で優しい陽射しを浴びながら
照れくさそうにそこに佇んでいたようです。

三郎さんの写真と大西洋の石を眺め、
青い海と白い石の壁、そしてそこに渡った酒器たちが
異国の優しい風に吹かれていることを夢想します。




桃の節句

春の訪れを告げる静かな雨・・・
と思えば、
雛祭りにはまた寒が戻るようです。
こうした繰り返しの中で、
少しづつ季節は移ろいでいくのでしょうね。

昨日のお昼前、バタバタと伺った大家さんのお宅で、
奥さまに、ふわりと呼び止められました。
そして、そっと出してくださったのは、
雛人形に見立てられた「ひちきり」という和菓子。
雪ウサギの描かれた筒茶碗には、おいしいお茶を。
思い掛ず訪れた、とてもうれしいひとときでした。

素敵な雛人形を眺めながら、静かにお話をしていると、
幼い頃の雛祭りの思い出が甦ってきました。
大家さんは、いつも季節の移り変わりを
この街で暮らす楽しさとともに、
そっと伝えてくれます。

うちには、ささやかな桃の花を生けましょう。


二人の器

今宵堂は、たまにですが「器つくりの一日体験」をしています。
先週末の春うららかな日差しの中、
訪れてくれたのは仲のいいカップル3組さん。

みなさん、かなりのやる気で挑まれたのは、
その後に待ちかまえた酒宴のためなのか・・・?
ロクロにタタラに手びねりに、
思わず唸ってしまうほどの集中力とアイデアで、
続々と力作が生み出されていきました。

それぞれの家庭にそれぞれの器、
お互いを助け合いながら作るカップル。
なんとなく意識しながら進む二人の共同作業は、
とても幸せな姿でした。

立食パーティー皿、ギター皿、猫のカード立、蛇のお玉置
ユニークな作品が並ぶ中・・・ついには楽茶碗まで出現!
そんなひと仕事終えた後の乾杯は、言うまでもなく美味ですね。

私たち夫婦は、長い間いつもふたりで仕事をしているので、
共働きのご夫婦や、週末に会う恋人達の感覚に
少し疎くなっているかもしれません。

いつもは離れていても、忙しくても、
向き合うひとときに、ほころぶような笑顔を見せる
みなさんが、とてもとても素敵に思いました。
距離でも時間でもなく、やさしさや思いやりなのですね。
私たちもふたりで心を込めて、大切に焼き上げたいと思います!





春の予感

ちらちらと粉雪が舞う、
寒が戻ってきたような日が続きますね。
でも、冷え込んだ空気の中にも、
ときどき、小さな春の息吹を感じる瞬間があります。
それは、私たち人の心や動きの中に。

このところ、たくさんの方と思い掛けないご縁をいただいて、
うれしい酒宴のひとときをご一緒する機会に恵まれました。
酔い心地で語り合う中、ふと聞こえる言葉は、
とっても、わくわくとさせてくれるものばかり。
みなさん、新しいことに向っていたり、
密かに心に決めていたり、
不安を抱えながらがんばっていたり、
今、何かに進んでいこうとされているのだな、と感じます。

そして、そんな気持ちを後押ししてくれているのが、
すぐそこまで近づいている「春」なのかもしれません。

今宵堂も、今年はさまざまな街で展示の機会をいただいています。
春の山形、初夏のニセコ、真夏の静岡、
初秋の京都、深秋の福岡、来年新春には岡山へ。
その他、イベントにもちょこちょこ参加させてもらいますー。

ひとつひとつの展示に、アイデアとユーモアを込めて、
お越しいただく皆様に、楽しい時間を過ごしてもらいたい!
小さな工房の夫婦ふたりも、
新しい季節に向ってぐんぐんと伸びていきたいです。